透化虚像制作

 

あ、散歩にでもいこうかな

お風呂上がりの濡れた髪を軽く乾かしながら思った

月が見たいなぁ

三日月でもなんでもいい

部屋着からTシャツスウェットに着替えた

たいして変わりはしないけど

心持ち

みたいな

玄関で靴を履く

ランニングシューズ

サイズが合わなくなるまで大切に使う

サイズが合わなくなっても大切に持っておく

そう決めたお気に入りの

セール品で元値も高くはないけれど

可愛いから好き

丈夫だし

いいかなって

そうそう

スニーカーは一足も持ってない

オールスターとかいうのCMでやってるけど

可愛いけど

色んなのあるけど

丈夫そうな布

カスタマイズで靴底

合体

なんか冷たそうだもん

そんなかんじ

どこ行くの

めんどくさい

めぐちゃん

後ろから

散歩です

聞き慣れない穏やかで必ず居る声

こんな時間に行くの

顔を会わせる回数を数えるのもやめた

はい

めんどくさい

危ないからね、気を付けるのよ

母親とかいう生き物らしい

いらない

いない夜が嬉しいくせに

ん?なに?

この人を一言で言うなら

行ってきます

化け狐

いってらっしゃい、気を付けるのよ

この人の目は私を見てはいない

玄関を出て、一人に安堵する

今日もお父さんはかえってこない

住宅街の昼間の気配に触れながら歩く

外灯に照らされた影

小さな私

背が小さくていじめられた

それでもここまで伸びた

なのに

今の私は

どんどんどんどん

小さく

縮んで

沈んでいくよう

右手

折角お母さんがここまで育ててくれたのに

左手

親不孝ものだなぁ

とか

思ったりするわけで

自分と握手

そうだ

コンビニ行こう

客は一人

いらっしゃいませー

気だるそうに

たまにはいいよね

名札には小向

手にしたものを会計する

ありがとうございました-

ビニール袋の半透明性

気だるそうに

自動ドア

すれ違い際に店内にまた一人

多分、社会人

一瞬だけ客は二人

女の人

いらっしゃいませ-

目が合う、会釈

小向はこの人のことが好きなんだろう

気だるそう、は

私だってたまに来るけど

気を張って、に

シフト合わせてたりして

変化してたから

少し進みまして

到着

公園は暇だけど

好き、隙が好き

なんつっても

暇の合間の暇差し替え

滑り台の階段に座る

定位置

見え見えのブランコは苦しいから

ぼうっと見上げる

月が見たいなぁ

三日月でもなんでもいい

けど

残念

なにも見えないや

厚い雲が隠してる

お月様もお色直しかな

みんなに一斉に見られるのも大変だな

ポテトチップスの封を開ける

コンソメ味

安定的

でも、純潔そうだよね

清廉潔白

油にコーティングされた芋を噛み砕く

光のベールの下は知らなくていい

この芋だって油を取り除けやしない

自分が無知であればいい

自分に害がなければいい

お手拭きもらい忘れたや

指に油が移る

これ何カロリーだっけ

確か236くらい?

月が顔を出した

501カロリー

いつにも増して神々しい

超高いじゃんこれ

導いてくれたなら

美味しいからいいか

咀嚼音が奏でる独奏曲

ピアノソナタっていうやつ

きっとお似合いなんだろうけど

私が奏でられるのは

揚げられたこれを胃まで運ぶ音くらい

雲の動きが速いようで

夜は気配が全くなくて

上座下座早々にはけていく

余計に響く単調なメロディー

お待たせしました地球さん

月がそう言っているようで

言ってたらいいなって

よ、待ってました

なんて言ってみたり

あの月の美しさも移るのだろうか

すごく綺麗な

この油を落としてくれるだろうか

どうしようもないくらい満月なんだ

気分は三日月だったかも

そんな有り余る照光で私を見つけるの

見つけてくれるの

本日は私が曇天です

先程までの分厚い雲が集まってきたらしい

大きな眼でも隠れんぼには手を出せない

見つけられない

だから

シンパシー

ていうものみたいなやつで

やつっていうかそんな感じで

そっと横にいるくらい

今日のお月様では眩しすぎて

目を開けられない

でももしかしたら

月でさえも光でさ

この身を隠してくれるかもしれない

神々しい

その後ろ

眩しいその後ろから

待って、駄目だ

影だけが見えちゃうような

影なんかで見つかるのは

なんて馬鹿らしい

だって

そんな理由で見つかるのは

そんなヘマで見つかるのは

私が見つけられたときあまりにも惨め

そんなことで

やっぱり

三日月がいいな

背伸びは成長の証

だとか

こんな状態が続くのなら

公園の深さに溺れても

何時に帰ろうか

時々シーソーに顔出ししても

今夜は田村さん

蟻地獄を砂場で探しても

今夜は長いだろうから

時が止まったように

友達のところ行ってた

スローモーションじゃなくて

友達とかいないけど

時空ごと公園を早回しで

適当に言ったって信じるくらいに

そうそう

私に対する関心興味はゴミ箱ヘ

クイックモーション

時空ごと私のいる公園っていう領域を

歪めて

侵して

早く過ぎればいいのに

あれ

そうそう

もう収集されて燃やされてさ

反対だった

拾い上げたとて塵は塵

瓶に詰められても

母親

とかいう生き物の領域だけ

積めたところで塵は塵

クイックモーション

そうなればいいのにな

あと15日間くらい

それまであと何回

最近回数も増えてきて

顔を会わせる回数を数えるのをやめた

そんなわけでもないけど

月がなくなるまでを数えるように

新しい声も聞こえるようになって

こっちは数えるようになったのだけど

規則性って時には不憫なもので

延々と羊を数えるみたいに

名前を知らない

職業も年齢も何もかも

無駄を無理に有意義にしてる

なのに

有限が待ち遠しい

もしかしたらだからこそ

永遠がないことを示して

間違いメール感覚

間違えただけじゃんくらいの感覚

開きっぱなしの扉を閉めて

感覚の罪を晒しながらあの生き物は

ドアクローザなんて取り外してしまえ

いっそ閉まりきったまま

求めて          しまえばいい

果てて          いるのだろうか

今日もお父さんはかえってこない

踏み台

滑り台

登って

落ちて

滑って

錆が出てくれば

まだいいのになんて

メンテナンスは不要です

保証期間も不要です

口コミレビュー星に評価

最高です、満足です、5つ星、二重丸

だからこそもしかしたら

それがあったならまだ

まだ

少し位は

米粒程度でも

少しは

たとえ視線が私になくても

好感的なの

持てたかもしれないかもしれないんだけど

実際どうだか

私は溺れて行方不明

私が蟻地獄に引き込まれても

ずっとずっと

当たり前の永遠に心酔して

気付かないんだろうな

愚か

と罵ってみようとしましても

羨ましい

と心のどこかで渇望して

テレパシー送信

受信局がなくて

未送信フォルダが満杯になってきた

見つけられないように

そりゃそうだ

隠れんぼには手を出せない

あの月のように見ている

それだけのこと

以上

帰ります

夜の違和感は服を着て

見事に着こなしているなって

称賛ものだ、パリコレいけるじゃん

拍手をどーぞ、わーわー

アンノウン思考編成

この扉は閉じたままのくせに

おかえり、めぐ

この幻こそが無限ならば

ただいま-

朽ちる運命だとしても

今日はめぐのために

思い出は永劫と隣人であればこそ

これみて!

水やりを怠ってもよく実る

これって

かわいいでしょ?

こんな高そうなの買わなくても

それがね、セールで安くなってたのよ!

でも

だってもうボロボロじゃない!

まだ大丈夫だよ

これならしっかりしてるし、長く使えるわよ

うん

なーに、嬉しくないの?

ううん、そうじゃなくて

これ、かわいいでしょ?

 

 

めぐー、おーい

うん、すっごくかわいい

お、よかったよかった

ありがとう、お母さん

割れて

地に

肥料となって

残る実は大きくなっていくばかり

実が全て無くなっても

残ったまんま

残ったまんまの樹木

お母さん

私はここまで伸びたんだよ

お母さんと背比べしたのはいつだっけ

背中をひたと合わても

私はその半分もいかなかった

本当は

そのあとも背比べしてね

無邪気爛々と

なん㎝伸びた!

そうやって追いつきたかったんだよ

でも

出来なかったから

床に伏せたあなたと背比べなんて

お母さん

どんどんどんどん

小さく

縮んで

沈んでいくよう

だからいつも手を握ってたんだけど

手汗やばいとき

冷たかったときとか

ごめんなさい

そんなことより

そんなことでもないんだけど

あのね

私もどんどんどんどん

小さく

縮んで

沈んでいくよう

けど

掬い上げてくれるのは

お母さんでも

お月様でもなくて

自分自身

この右手はこの左手を離さない

この左手はこの右手を離さない

手を握れなくなった日

握る必要がなくなった日

そう決めたんだ

案の定

おまじない効果

とでもいうのかな

必需品となり

鞄に必ず入ってますと報告しとく

お母さんはお母さんでお母さんなんだ

本気で

それが絶対だと思ってた

母親とかいう生き物

お母さんの気配を残した家

きた

お母さんの香りを残した家

きた

お母さんが絶対だった家

来たんだ

兎の毛皮を纏って

獣の匂いを微かに嗅ぐわせて

めぐちゃん

どうしてお父さん

こんにちは

この人は何になるというの

お父さんからは聞いてないかな?

やめて

ごめんね、挨拶遅れて

やだよ

はじめまして

お母さん

新しいめぐちゃんのお母さんだよ

何を言っているんだろう

お母さんっていう存在は唯一人

こんなパラドックス

いらない

お母さんが不倫していたらよかったのに

お父さんがそれを知っていたらよかったのに

そんな風に

そうやってでしか考えられなくて

それならまだ好感的なの

持てたかもしれないかもしれない

最高です、満足です、5つ星、二重丸

そんな行為

あり得ない

だって間近で愛を見ていたから

この身に愛を見つけてくれていたから

シーソー

乗っても楽しくない

それくらいに

私のため

言い訳

お父さんの口実

お母さんのこと愛してた

単にその愛が止まってしまったまでのこと

そのまま

当然に終わったと連結

レールの上を走り続ける

なのに

増えた

レール

朽ちていくだけの思い出に沿って

肥大した実に進行方向を塞がれても

走らせなければ

動かさなければ

ふたり分

一人でも

不慮

気紛れな神様のあみだクジ

たまたま

不慮の

偶然の確率集計しても

確率なんて今更

不慮の事故

どうでもいい

テレパシー受信はちょっと

MP足りないんだけれど

こんな時に

こんな時であればこそ

これでいいよね

そうなんだ

お父さんはかえってこない

お父さんもかえってこない

今日も明日も明後日も

ずっと

こんな無限こそいらないのに

回想終わり

獣臭い

鼻がおかしくなるって

顔を歪めたって

ちょっと不細工じゃーん

うけるんだけどー

とかいうの一人でやるくらいで

だからどうしたって案配で

替わるのは声

それくらい

あと

玄関の靴

的中外れ

幸田さんかぁ

この人最近多いような気もする

気だけかも

たくさんいるもんな

似たり寄ったり

おんなじような

わざとらしく

狐らしく

選り取り地味で高貴そうな

なんてそれこそ

どうでもいい話なんだけど

ここには私はいないらしい

愛が

薄れて

あったはずの

気配が薄れていく

取り残されて

なんで

エキノコックス

移ったりするのかな

なんで

月の美しさ

あれがいいのに

部屋

神々しい満月が見えるんだけど

このくらいの距離なら

満月でもいい

かもしれない

でもやっぱり

そんな正面で見られたくないから

今日は

三日月

横向き

そっと横にいるくらい

見ないことにする

なにもかも

幻に埋もれていたりした方が

どうにかなってたりする

気分的に

いいと思う人、挙手でお願いします

けれど分かってる

はーい

見つけられなくても

一人

惨めになってしまう

我慢するのは体によくないとか

なんとかこんとか

やってたりするの見てみるけど

我慢しないことこそが

良くないこともあるんだって

学んだんだ

めんどくさい

いやなの

めんどくさい

きらいなの

自分に害がなければいい

そのために

自分が無知であればいい

母親とかいう生き物

私を見ていない

母親とかいう生き物

お母さんって書いたTシャツ着せられてるような

母親とかいう皮を被った化狐 

ずっとコンコンコンコン

尻尾

鳴いて鳴いて

振って

泣いてる

本当に

月が綺麗だなぁって

月だけを見ていればいいかな

15日後くらい

長いような

三日月

短いもので

新月ともいうその月を

見たくて

どうしようかな

気が変わってたら

きっと

どんな月でも美しさは保たれる

だろうな

お母さん

そういえば

お父さん

そうそう

私はね

月の色

ここにいる

まるでそれは

ここしかないから

狐の黄色。

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